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第85話
アルと2人きりで話をしてるとうるさい足音が聞こえてきた。俺を座りながら抱きしめていたアルも「何だ?」と眉を寄せている。
と、思えば扉がドンドンと叩かれて、アルが扉を開ける。
そこに居たのはレヴァンで、何故か目が赤く腫れている。
さっきとは全く違うレヴァンだ。
「どうしたの?」
「ルシウスが···」
「え?」
そばに寄った俺を抱きしめたレヴァン。バランスを崩して倒れそうになるのをアルが支えてくれる。
「とりあえず座れよ」
「あ、うん···レヴァン、そっち座ろう···?」
レヴァンと一緒にソファーに座ってもう1度「どうしたの?」と聞いた。途端、泣き出してどうすればいいのかわからずにアルを見れば、アルも困惑してる。
「あのね、ルシウスが仕事で、いなくなるって···!」
「ああ。成程」
すぐに理解したアルが「それは」と言葉を続ける。
「たった2週間だろ?その間はここにいればいいし、別に泣くような事じゃねえだろ」
「じゃあ!アルフレッドさんはジークと2週間会えなくても平気なんだね!?」
「いや、え···それは···」
「ほら!!そうじゃん!絶対寂しいじゃん!」
「···でも、仕事だろう。それを我慢出来ないようじゃ、早くルシウスとは別れた方がいい」
それは正しいと思う。
けど、どうして、このタイミングでそれを言ったの。
レヴァンはより一層酷く泣き出して、俺はとても困っている。
「···アル」
「悪い」
「フィオナさん呼んできて。」
「ああ」
アルを部屋から出して「レヴァン」と努めて優しく声をかけると、涙でぐちゃぐちゃの顔をあげる。
「2週間我慢したら、御褒美貰えるかもよ」
「御褒美···?」
「うん、とう言うか···我慢するから御褒美ちょうだいって言ってみなよ。でもね、その代わり寂しいのはルシウスさんも一緒だから、ルシウスさんが帰ってきたら沢山甘やかしてあげて···ね?」
「···寂しくて我慢出来なかったら、ここに来てもいい···?」
「いつでもおいでよ、俺かアルは絶対にここにいるから」
レヴァンは渋々のように一度頷いて、涙を拭く。
暫くするとフィオナさんをつれたアルが帰ってきて、レヴァンはフィオナさんと2人で部屋を出て行った。
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