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第90話

ご飯を食べた後、俺とジークは外に出て日向ぼっこをする。 「昨日ね、アルがいい匂いって言ってくれたの。多分、太陽の匂いなの」 「そうなんだ。じゃあ、今日もいい匂いになるね」 「うん!」 地面の砂に落ちていた木の枝で絵を描くジーク。 その時に思ったのは、ジークは一体何歳かってこと。 「ジークって歳はいくつなの?」 「えっとね···えっと···10?いや、違うな···あれ?」 「わかんない?」 「わかんない。そんなこと気にしたことなかったから」 俺もあまり自分の歳を気にしたことはないけれど、忘れることはない。ジークは少しだけ変わってる。 「アルなら知ってるかも。アルは俺よりも俺のことわかってくれてるから」 「アルフレッドさんのそういう所が好きなの?」 「うーん···それもあるけど、それだけじゃないよ」 ジークは絵を描き続ける。 そこに描かれているのは獅子の姿で、ジークはとても楽しそう。 「教えないけどね!」 「え!教えてくれないの?」 「うん。だって、恥ずかしいもん」 獅子の絵を足で消したジークはそのまま立ち上がって走り出す。 そしてアルフレッドさんがいるであろう部屋の窓の下に立ち「アルー!!アルフレッドー!!」と大きな声で名前を呼ぶ。 窓から顔を出したアルフレッドさんは「どうした」と返事をした。 「獅子になって!」 「どこか行くのか?」 「ううん、アルのその姿が見たいの!」 そう言うとアルフレッドさんは「そっちに行く」と言い窓から離れた。

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