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第97話

夜になるとジークの熱は上がって、苦しそうに呼吸をしてる。 「医者に診てもらおう」 「やだ···」 「こんなに熱が出てるんだ、辛いだろ」 「···辛くない」 「嘘つくな、ちゃんと俺を見れてもないくせに」 焦点があってない。 そのくせに嘘をついて、どうしてそこまで医者が嫌なのか。 「医者を呼ぶ。」 「···や、だ」 泣きながらゆっくり首を左右に振ったジークを無視して、フィオナに医者を呼ぶように頼んだ。 「アル···ひど、い···バカ···」 「それはお前だろ。それに俺がいるから大丈夫だ」 ジークはゆっくりと瞬きをする。 その度に目尻から涙が零れた。 *** 人間の医者が来てジークを診てくれる。 目を覚まして嫌だ嫌だと言うジークを何とか宥めていると「もういいですよ」と医者に言われた。 「これを飲ませて差し上げてください。」 「飯は食えないが、それでもいいのか」 「大丈夫です。」 医者はふんわりと笑って俺に薬を渡し「何かありましたらまた」そう言って帰っていく。 ジークはぐったりとしていて、この状態でこれが飲めるのかと心配になる。 「ジーク、これだけ飲もう」 「···起きれない」 「支えてやるから」 ゆっくりとジークの体を支え起こす。 ジークの口に薬を入れて水を飲ませると、なんとかごくっとそれを飲んでくれた。 「あの川、二度と行かない···」 「だから、あの川に入って濡れたままでいたからだろう」 「···俺に入ってほしそうだった川が悪い」 「···俺には川がそう思っていたとは思えないが」 「思ってたもん···」 ジークを寝かせると、「隣!」と言われ、その通りに隣に寝転んだ。 「ずっと隣、いて」 「···わかった」 「勝手にいなくなっちゃダメ」 「ああ」 俺の手を掴んで、寝たくないのかずっと話し続けるジークに、頷いてやるくらいしかできない。 というか、この頃しっかり眠れていなかったせいで体が少し辛い。 「───でね···アル、聞いてる?」 「···悪い、ちょっと眠くて」 「寝ちゃうの···?じゃあ俺、ずっとアルのこと抱きしめててあげる」 その言葉を聞いたと同時、プツンと意図が切れるかのように意識が途絶えた。

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