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第98話
ルキアノスから手紙を貰ってやって来たのは従兄弟のアーサー邸。その一室で頭を悩ませる私にオスカーがコーヒーをいれてくれる。
「少しお休みになってはいかがでしょう」
「···いや、少しでも早くレヴァンの元に帰りたい。休んでる暇はない」
コーヒーを一口口に含む。
少し気持ちが落ち着いて、はぁ。と息を吐いた。
「レヴァンは大丈夫だろうか」
「何かあればこちらに伝えるように言ってあります。今の所は大丈夫でしょう」
早く帰ってレヴァンを抱きしめたい。
レヴァンが居ないから、ベッドに入った時にとても虚しい。
「───なあ!おい、ルシウス!」
レヴァンのことを考えていると今回の問題源であるアーサーがやってきた。ヘラヘラと笑うこいつはどうも私とは気が合わない。
「何だ」
「お前がさっき渡してきたこれは何だよ!」
「何だって、お前が間違ったことをしていたから、やり直してやっただけだろうが」
「あぁ!?俺が間違った!?」
「間違っていた。」
名前だけは立派なアーサー。態度も頭脳もやることも、全て···私が思うにはアルフレッドよりも劣っている。
アルフレッドは努力をするが、こいつはしない。
そのくせに威張り散らす。そういったところが腹立たしい。
「誰のせいでこんな不祥事が起きてると思っているんだ」
「お前が手伝いにこないからだろ」
「···そう言っている間は、何度もこんな不祥事が起こるだろうな」
コーヒーを一口、また口に含む。
それと同時にアーサーが俺の胸ぐらを掴んだ。そのせいでカップのコーヒーが零れ服を汚す。
「オスカー着替えを」
「はい」
アーサーを退かせてオスカーの用意してくれた服に着替える。その間にもアーサーは私を睨みつけていた。
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