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第101話
「獣人の中でお前と婚約したいやつなんて何人もいるわけだ。それを格下の人間···更には男だろ?子供も産めない、後継ぎを残せないそいつが果たして本当に必要なのか?って思うわけだ」
「今はその話をしている暇がない」
「まあ聞いてくれよ。お前がだめならアルフレッドだ。だがアルフレッドも人間と、だろ?このままじゃお前達の代でこの一族は終わる。先代達が悲しむぜ」
「まあ、お前に私たちの代わりが務まるとも思わないしな」
嫌味をぶつけるけれどアーサーは今回はそれを気にすることなかった。それどころか「まあ、間違いねえな」と笑い飛ばす。
「そうなられたら俺も困るんだ、だからなんとか邪魔してやろうと思ってるんだけどな」
「···後継ぎはなんとか出来る」
「何とか?どうやってだ?どっかの子供を貰うのか?」
その言葉に頷くとアーサーはまたケラケラと笑う。
「同じ一族じゃねえやつを、子供として迎え、育てるのか?お前のような能力をその子供は持っているか?それにお前が良しとしても、人間の方は無理だろ」
「···レヴァンは話せばわかってくれる。それに···嫌ならレヴァンは関わらなくてもいい。レヴァンにまで育ててくれなんて言えるか」
「独り善がりだな。人間も子供も可哀想だ」
「···うるさい。お前はさっさと自分のするべきことをしろ。私の邪魔をするな」
一向に進まない仕事にイライラしてしまう。
当たるように厳しい声でオスカーを呼んで、アーサーを出て行かせるように指示をする。
「明後日までにこれを終わらせる」
「はい。それが終われば帰れます。あと少しです」
「···ああ」
レヴァンの様子も気になるし、これからの事も考えないといけない。少し頭が痛くなった。
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