101 / 170

第101話

「獣人の中でお前と婚約したいやつなんて何人もいるわけだ。それを格下の人間···更には男だろ?子供も産めない、後継ぎを残せないそいつが果たして本当に必要なのか?って思うわけだ」 「今はその話をしている暇がない」 「まあ聞いてくれよ。お前がだめならアルフレッドだ。だがアルフレッドも人間と、だろ?このままじゃお前達の代でこの一族は終わる。先代達が悲しむぜ」 「まあ、お前に私たちの代わりが務まるとも思わないしな」 嫌味をぶつけるけれどアーサーは今回はそれを気にすることなかった。それどころか「まあ、間違いねえな」と笑い飛ばす。 「そうなられたら俺も困るんだ、だからなんとか邪魔してやろうと思ってるんだけどな」 「···後継ぎはなんとか出来る」 「何とか?どうやってだ?どっかの子供を貰うのか?」 その言葉に頷くとアーサーはまたケラケラと笑う。 「同じ一族じゃねえやつを、子供として迎え、育てるのか?お前のような能力をその子供は持っているか?それにお前が良しとしても、人間の方は無理だろ」 「···レヴァンは話せばわかってくれる。それに···嫌ならレヴァンは関わらなくてもいい。レヴァンにまで育ててくれなんて言えるか」 「独り善がりだな。人間も子供も可哀想だ」 「···うるさい。お前はさっさと自分のするべきことをしろ。私の邪魔をするな」 一向に進まない仕事にイライラしてしまう。 当たるように厳しい声でオスカーを呼んで、アーサーを出て行かせるように指示をする。 「明後日までにこれを終わらせる」 「はい。それが終われば帰れます。あと少しです」 「···ああ」 レヴァンの様子も気になるし、これからの事も考えないといけない。少し頭が痛くなった。

ともだちにシェアしよう!