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第105話
結局、ジーク達はまたぶり返しちゃいけないって、早くに部屋に戻っていった。俺はフィオナさんと2人で庭に残る。
「レヴァン様、お部屋に戻りませんか?」
「寂しくなるからやだ」
「···ルシウス様が居ないからですか」
「うん」
太陽が暖かい。
ゴロンと地面に寝転がる俺を「行儀が悪い」と注意してきたフィオナさんだけど、それ以上は何も言わない。
「フィオナさん、眠い」
「···寝ても構いませんが、くれぐれも風邪は引かないでくださいね。」
「でも風邪を引いたらフィオナさんが見ていてくれるんでしょう?」
「私の仕事を増やす気ですか」
「はーい、ごめんなさい」
重たくなる瞼に何とか抵抗をして体を起こす。
「ああ、レヴァン様に伝えたいことが」
「何?」
「ルシウス様からお手紙が届きました。もう少しで帰る、と」
「本当!?」
嬉しくて飛び跳ねた俺をフィオナさんは少し呆れたような表情で見る。だって凄く嬉しいんだもん。どれ位?って聞かれたらそれはもう、この世にあるものじゃ表せないくらい。
「いつ帰ってくるかな···俺、可愛い格好で待ってたいな」
「可愛いって···それならスカートでも履けばどうですか」
「···俺は男だけど」
「存じてますが」
でも、スカートかぁ。
俺がそれを履いて、果たしてルシウスが可愛いと思ってくれるかどうか…
ああどうしよう、どんな服を着ておこう···服···服···?
「あ!アドナに会いたい!アドナなら可愛い服持ってるでしょ!」
「それならついでに新しいお洋服も見繕ってもらいましょう。」
「うん!」
「ではお呼びします」
アドナは元気にしてるのだろうか。
最近は会えてなかったから、久しぶりに会えるのは嬉しい。部屋に戻ってルンルン気分でアドナを待った。
***
しばらく待ってるとフィオナさんがアドナをつれて来てくれた。アドナは俺を見て柔らかく笑う。
「アドナ!」
アドナに近づいてその手をとる。
「俺ね、ルシウスが帰ってくる時に可愛い格好でいたいの!」
「はい、お伺いしました!では一緒に考えましょう!」
アドナとお茶をしながら真剣に服を考える。
ルシウスが帰ってきた時のだけじゃなくて、俺の新しい服のことも。
「うん!これがいい!」
「ではこちらの様に致しましょう!さあ早速採寸です!」
アドナに促され立ち上がる。
言われた通りに腕をあげたり背筋を伸ばしたり。
それからアドナには「こちらを着てお迎えをしたらいかがでしょう!」と服を出してくれた。
「ところでルシウス様はいつお帰りになられるのですか?」
「さあ、もう少しでって言ってたみたいだけど···」
「もう何日もお会いになってないのでしょう?」
「うん。だから、ルシウスが帰ってきたらいっぱい甘えてやるんだ!」
俺がそういうとアドナはクスクスと笑った。
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