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第111話
ご飯を食べてからジークとアルフレッドさんのところにルシウスと2人で行く。
「ルシウス、おかえり」
「ただいま。レヴァンをありがとう」
アルフレッドさんとルシウスが話をしている隣で、俺はジークと少しだけお話をする。
「御褒美貰った?」
「うん!」
「ふふっ、よかったね!」
ジークが俺の手を掴んで嬉しそうに笑ってくれる。
俺たちは楽しくお話をしてたのに、ルシウスとアルフレッドさんは険しい表情をしてる。かと思えばルシウスがちらっと俺を見ていつもとは違う、何だかぎこちない笑顔を見せてきた。
「ルシウス?」
「···部屋に帰ろうか、レヴァン」
「うん」
何だか変なルシウス。アルフレッドさんも困ったような表情をしていてジークも不思議そうにしていた。
「ルシウス、何かあったの?」
部屋に帰るまでの廊下、ルシウスと手を繋ぎながらそう聞けば、立ち止まる。
「どうしたの···?」
「···さっき、大切な話があると言った」
「うん」
「私はきっと、これからレヴァンを傷つける」
傷つけるっていうことを予告する人は初めて見た。
傷つけられるという怖さより、驚きが勝っていて上手く反応ができない。
「話、そんなに嫌なこと···?」
「ああ。···跡継ぎのことだ」
跡継ぎという言葉に体が震えた。
男である俺は子供を産めない。
つまり、跡継ぎを作ることが俺にはできない。
「···ああ、そう」
「話を聞いてほしい」
「うん。···聞くよ、聞く。」
聞きたくなんてないけど、そうしないといけないのはわかってる。
「部屋で、ゆっくり話そう」
「···うん」
繋いだ手はさっきより冷たくなった気がする。
部屋につくまで、俺もルシウスも、一言も話さなかった。
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