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第119話
そのまま部屋の中でゲートと話をする。
今までは何があって、どうやって生きてきて、何と言われて今、ここにいるのか。
「ここにいるのは、施設の中の獣人で獅子だったのが俺だっただけで···」
「そうなんだ···。でも、それのおかげで出会えたから、よかったよ」
そう言うと柔らかく笑って「レヴァンさんは?」と聞いてくる。さっきの"様"よりはずっとましだな。と思いながら「俺?」と聞き返した。
「どうして、ここに?」
「俺はね···ルシウスが俺のことを見つけてくれたんだよね」
「見つけてくれた···?」
「うん。俺もずっと村で一人で、そんな中ルシウスが俺を見たみたいでね。突然村にお使いさんを寄越してきて···それで、それからはずっとここにいる」
「···ここは辛くない?俺、跡継ぎにするって言われても、何をすればいいのかもわからなくて···」
「辛いこともあるかもしれないけど、もし、本当に嫌になったらいつでも逃げ出せばいい。俺はゲートが逃げ出すためなら手を貸すよ」
そう言うと下から俺の顔を覗き込んで「本当…?」と不安そうに聞いてきた。
「本当。だって全部俺達の都合にゲートを付き合わせてるだけなんだし。ゲートが嫌になってここを飛び出したとして、誰が咎めることが出来るのって話だよ」
ゲートを軽く抱きしめてポンポンと背中を撫でる。
「でも、頑張れる時は一緒に頑張ろう」
「うん」
ゆっくりとゲートの手が俺の背中に回される。
まだまだ小さい手。俺が支えてあげないとと思って、話をしていたベッドから足に響かないように降りる。
「ルシウスのところ、行こうか」
「はい」
コクリと頷いたゲートと手を繋ぎ部屋を出た。
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