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第120話

ゆっくりと歩く俺の横を心配そうに歩くゲートに大丈夫と笑いかける。 ルシウスの部屋の前に行くとオスカーさんが立っていて俺を驚いた様子で見た。 「レヴァン様!いらしたのですか!」 「うん。違う部屋にいたの」 「そうですか。ルシウス様は只今アーサー様と会談をしておられます。お部屋でお待ちになりますか?」 「うん。ゲートも一緒に」 「畏まりました。」 ルシウスの部屋の扉を開けたオスカーさん。 部屋に入ってソファーに座ると俺の隣にゲートがちょこんと腰掛けた。 「ルシウス様の部屋なのに、勝手に入って怒られたりはしないのですか···?」 「しないよ。ルシウスは優しいからね」 「俺はルシウス様のこと、少し怖く思います」 「どうして?」 軽く俯いたゲートの顔を覗き込む。 驚いて目をはっと見開いたゲートは俺から少し離れて「だって…」と口を開く。 「俺を見る時、いつも怖い顔をしてて···俺のことが邪魔だってすぐにわかります。でもレヴァン様との時間が俺のせいで少なくなるのだから、それも仕方の無いことで···」 「それは仕方のないことじゃない。ゲートはここに来てまだ間もないからあれだから、こんな事言っても意味ないかもしれないけど、遠慮はしなくていいの。」 ゲートのふわふわとしてる髪を撫でる。 いつもルシウスが俺にしてくれるように。 「ルシウスもね、その距離感を間違えちゃいけないってことくらいわかってると思うよ。」 ゲートを抱きしめて、笑いかけると、ゲートも柔らかく笑う。 そうして和んだ雰囲気でルシウスを待っていた。少しすると部屋の扉が開いてそこからルシウスが入ってくる。ゲートは体を強ばらせて座っていたソファーから降り、ルシウスに頭を下げる。 「お前もいたのか」 「は、はい」 ゲートを一瞥した後、俺を見て目を見開かせる。 「その怪我はどうした!!」 「ちょっと転げただけ。ねえそれよりなんでゲートにそんな冷たい対応をするの」 ゆっくりとソファーを降りた俺をルシウスが焦ったように支える。 「ゲートには、俺達は感謝をするべきだって···俺もさっき思ったばっかりなんだけどね」 「···そ、うだな」 「ねえ、俺もこれから何をどうするべきかをやっと理解したの。俺のするべきことはゲートを支えること。そして俺達がまるで本当の家族だとゲートに感じてもらえるように、寂しくないようにしてあげること。」 「ああ」 「ふふっ···っ、いたっ!」 足に力を入れてしまって痛みで蹲った俺にルシウスもゲートも慌てて大丈夫かどうかを聞いてくる。 「うん、うん。大丈夫」 「どうしてこんな怪我を···外に行ったと聞いたが、何かあったんだろう?怒らないから教えてくれ」 とか言いながら、きっとこれを話したら怒るんだろうなぁ。と思って、でもこれは話すべきだと感じて口を開いた時。 「────俺が教えてやるよぉ」 と突然、アーサーさんが部屋に入ってきた。

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