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第122話
「レヴァン!」
アルフレッドさんが椅子に下ろしてくれる。
ゲートも椅子に座って、ジークを何かを疑うような表情でじっと見ていた。
「その子は?」
「ゲートだよ」
ジークは早速ゲートに興味が湧いたようで、ゲートに歩み寄り獣の形をした耳にちょんちょんと触れる。
「獅子だ」
「ぁ、は、はい」
「アルと同じだね」
アルフレッドさんは少し離れたところに座り窓から外を眺めている。
「ところでレヴァン」
「何?」
「その怪我、どうしたの?」
首を傾げたジークが俺に真剣な声で聞いてくる。
「ちょっと、いろいろあってね。でも大丈夫だから心配しないで」
「···そう。」
小さく微笑んだジークはアルフレッドさんに駆け寄って「ゲート、アルと同じだよ」とアルフレッドさんの耳に触っていた。
「やめろ」
「何で?俺、アルの耳好きだよ」
「···ならいい」
二人は、二人だけの世界に入ってしまって、俺とゲートはそれをぼーっと見ている事しか出来ない。
「アルフレッド様は、ジーク様のことが大好きなんですね」
「そうだね」
ゲートがこそこそと話してくるのに俺もコソコソと返事をする。
「そうだ!ねえゲート!人型じゃなくて、獣型になってよ」
「え···?」
突然、ジークがそう言い出した。
驚いたゲートの尻尾はピンっと伸びている。
「あ、あの、俺は···」
「無理なんだろ」
「···はい」
何かを言いにくそうにしていたゲートが、アルフレッドさんの言葉に素直に頷いた。
獣型になるのが無理って、どういうことだろう。
「何で?」
「獣型になるのには条件がいるんだ。」
「条件···?」
「そう。ある程度の体力があることが絶対条件だ」
「な、なるほど···?」
理解をしてないジークと俺にアルフレッドさんは呆れたように溜息を吐く。
「生まれながらに自由に変身出来るやつなんて稀だ。俺はそんな話を一度しか聞いたことがない」
「そんな人がいたの?」
「ルシウスだ」
「わぁ···ルシウスさんが···」
その話を聞いて驚いたのは俺だけじゃなくて、ジークもゲートもそうだった。
「兎に角だ。変身出来るようになりたいなら、もっと鍛えろ」
「···ど、どうやって···?」
ゲートの不安そうな声を聞いてアルフレッドさんはじっとゲートを見る。
「ジークとレヴァンと遊んでいれば自然と体力はつくだろう」
「え!何それ!」
ジークがアルフレッドさんに「俺と遊んでると疲れるの?」と詰め寄った。
「い、いや、あの···」
「疲れるの?」
「俺は疲れない。だがあの···お前のことを見ている奴らが、お前達は元気だから疲れるって···言ってたのを、思い出しただけで···」
「そっか!ならよかった!」
そうしてジークは笑顔になってアルフレッドさんに抱きついていた。
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