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第123話

「アルフレッド様、お勉強のお時間です」 話をしているとフィオナさんが部屋にやって来てアルフレッドさんにそう言った。 途端、アルフレッドさんは顔を歪めてジークを抱きしめる。 「お勉強だって」 「···お前といた方が楽しい」 「でも、お勉強しなきゃ···ルシウスさんとお話したでしょ」 「···ああ」 渋々ジークから離れたアルフレッドさん。 ジークはそんなアルフレッドさんの頭を撫でて「待ってるから、早く終わらせてきてね」と言って頬にキスをした。 「ゲート様も、お勉強をしなくてはならないでしょう。オスカーが探しておりました。それにレヴァン様、アーサー様はもうお帰りになられたので、どうぞお部屋にお戻りください」 「はぁーい」 ゲートが慌てて立ち上がるのを見て、俺も戻ろうと椅子から降りる。 「レヴァン、送っていくよ」 「大丈夫だよ」 「怪我をしてる時くらいは甘えてよ」 優しく笑うジークに、「じゃあ…」と手を借りて部屋を出る。 「ゲートの部屋に今度遊びに行ってもいいかな」 「勿論です!」 ゲートの部屋は俺達の暮らしている建物の中にある。 同じ方向に帰るから、部屋の前までゲートを送ってから、俺はルシウスの部屋に行ってジークと別れた。 ルシウスの部屋には誰もいなくて、ソファーに寝転がり目を閉じる。ちょっとすると扉の開く音がして、薄く目を開けると部屋にルシウスが入ってきた。何故か慌てて寝たふりをした俺の姿を目に入れると近づいてきて頬を撫でられる。 「レヴァン···」 「···なあに」 「起きてたのか」 「うん。···アーサーさん、帰ったんだね」 「ああ」 ルシウスは俺を撫でる手を離すことなく、そのまま首筋をなぞる。 「擽ったいよ」 「ああ」 「ああ、じゃなくて···っ」 その手から逃れて、ソファーに座る。 じっとルシウスを見ると、何処か悲しそうな表情をしていて、思わず手を伸ばし、ルシウスの頬に触れる。 「どうしたの?」 「···痛かっただろう」 足を撫でられ、成る程、と頷いた。 俺が怪我をしたことを悲しんでいるらしい。 「これくらい大丈夫なんだって。俺は元々村育ちだよ?こんな怪我なら今までにも何回もあったし、俺は怪我をしてもどうもないから···だから大丈夫なの」 「レヴァン、自分自身を卑下するな」 「···そういうことじゃ、なくて」 ルシウスの手が優しく動く。 額がコツンと合わさって、至近距離で見つめあった。 「もっと、自分のことを大切にしてくれ」 「···してるつもりだよ」 そう言うとルシウスが俺の手を強く握って「足りない」と言った。 「レヴァンはいつも、自分より他人を優先する。」 「そんなことないけど」 「あるから言っているんだ」 「···ごめん」 額が離れて、柔く抱き締められたかと思うと、ルシウスがクンクンと俺の匂いを嗅いでくるから、恥ずかしくて身を捩る。 「ルシウス」 「何だ」 「好きだよ」 俺のことを大切にしてくれるから。 俺のことを好きだと教えてくれるから。 「ルシウスのこと、大好きだよ」 ルシウスの肩に、こてんと軽く頭を乗せた。

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