125 / 170
第125話
部屋に帰って、ルキアノスさんは俺をソファーにおろして部屋を出て行った。
今日はルシウスとすれ違う事が多い。
俺が悪いとわかっていても、素直にごめんなさいを言えなくて、その場所から逃げてしまう。
勉強はするって約束したから、それはするけれど、俺は昔から勉強をするとなると頭が痛くなるから嫌で仕方ない。
「あー···考えただけで痛い」
こめかみを押さえて、ゆっくり深呼吸をする。
ソファーに寝転がって目を閉じると一気に体が重たくなった気がした。
勉強は明日から始めよう。そういえば、いつから俺はこんなに勉強が嫌いになったんだっけ。思い出すことも嫌ってことはそれなりの出来事があったのか。
···全く1ミリも覚えてないからそういうわけじゃないだろう。
一度眠りに落ちようとすると扉がノックされた。
パッと目を開けてソファーに座ると扉が開きそこからはセシリアさんが入ってくる。
「あ、お休みでしたか···?」
「大丈夫です。どうかしたの···?」
「ルシウス様からの伝言です」
「うん」
いつもなら絶対自分から言いに来るのに、さすがのルシウスも怒ったのだろう。
「無理はしなくていいと」
「···何それ」
「そうとだけ伝えてくれと仰っておりましたので、真意はわかりかねます」
それだけ言ってセシリアさんは帰って行った。
無理はしなくていい?なんでそんな優しい言葉をくれるの?怒ってたんじゃないの?
ルシウスの考えがわからなくて、溜息を吐く。
そしてまたソファーに寝転がってあくびをこぼす。
やっぱりちょっと眠ろう。
それから、ルシウスの言葉の意味を考えよう。
目を閉じて、夢の世界に落ちた。
ともだちにシェアしよう!