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第135話

「わぁ、すごい···!」 俺とルシウスとゲートと、フィオナさんとオスカーさんで外に出る。 そして人間の村にやって来てゲートが農作業の様子を見てそう言った。 「すごい?これが?」 俺にとっては当たり前の光景で、何がどうすごいのかはわからない。 「すごいです···俺···ぁ、わ、私は農作業をしたことがないので···」 「そうなんだ···?」 その感覚がわからない俺は首を傾げるしかない。 ルシウスはそんな俺を見てクスクス笑い、「そういう所が人間のいい所だな」と言った。 「どういうこと···?」 「汗水を流して物を作り、作った物に感謝出来るということだ」 「···それはすごい事なの?当たり前じゃないの?」 「その感覚は私達獣人には無いものなんだ」 俺とルシウスが話している間もゲートは楽しそうに農作業を見ていて、作業をしていた人間はそんなゲートに少し怯えている。 「ゲート、もう少し離れなさい」 「ぁ、はい」 ルシウスに言われ人間から離れたゲートだけれど、少し嫌だったのか表情をしょんぼりとさせている。 「人間は獣人に怯えている。あまり近付くのは可哀想だ」 「どうして、獣人を怯えるのですか?私は何も痛いこともしません」 「そこもこれから学ばなきゃならない。」 「はい」 ゲートは納得のいっていないようだけれど、それでも返事をしてルシウスと俺の間に立った。 「私も農作業をしてみたいです」 「ああ。今度やってみるか」 「はい!」 ゲートの頭を撫でたルシウス。 二人は手を繋ぎ、「向こうも見てみるか?」とどこかに行く。 俺はまだその場所からまだ動けなくて、目の前で働いている人間をぼーっと眺める。 「···村に1回、帰ろうかな」 何の思い入れもないただの村だけれど、あの村には母さんと父さんのお墓がある。 「···ルシウスに頼まなきゃ」 村のことを考えると同時にラビスさんのところにいる二人のことを思い出した。 できるならあの二人を解放してあげたい。

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