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第141話
お風呂に入って部屋で少し休んでいる時、オスカーさんが部屋にやってきた。
「ルシウス様」
「ああ。あの二人の様子はどうだ」
「先程食事も終わり、今は用意した部屋に」
「そうか。···レヴァン、少し行ってくる。」
そう言って出ていくルシウスに手をヒラヒラと振り、俺は綺麗に片付けられたベッドに横になる。
あの二人が助かったことはよかった。けれどあの二人から受けた仕打ちは忘れない。···いや、あの二人だけじゃないんだけれど。
実際殺されるところだと聞いた時は少し嬉しかったし、ざまあみろって思っちゃった。
こんな汚いことを考えているなんてきっと最低だ。
溜息を吐いた俺の耳に聞こえてきたのは部屋をノックする音。
「はーい」
「し、失礼します!」
起き上がって扉の方を見るとゲートがいて、俺を見るや否や駆け寄ってきた。
「どうしたの?」
「に、人間がいました!俺、あんな近くで人間を見たの、レヴァンさんとジークさん以外に初めて!」
多分、デニスとエレニのことを言ってるんだろう。
よかったね。と笑いながらゲートの頭を撫でる。
「あの二人は俺の知り合いなんだ」
「レヴァンさんの!?」
「うん。でも今は二人とも元気じゃないから、元気になったら会いに行こうか」
「はい!」
ゲートは嬉しそうに頷いてニコニコ笑う。
可愛らしいその姿についつい強く抱きしめるとゲートが「レヴァンさん?」と俺の顔を覗き込んだ。
「どうかしましたか?」
「ううん。」
そう言いながらも腕の力は緩めることなくそのままでいると扉が開いてルシウスが部屋に入ってくる。
「レヴァン···とゲート?何をしてるんだ?」
ルシウスが訝しげに俺たちを見る。
ゲートは慌てて俺から離れようとするけど、面白いから腕の力を緩めることなくそのままでいるとルシウスがだんだんと表情を変えていく。
「ち、ちが!レヴァンさんっ!離して、離してっ!」
「っ、あははっ!はいはい、ごめんね」
面白がる俺を頬を膨らまして睨んでくるゲート。
ルシウスはそんなゲートを抱っこして「よしよし。悪かった」と言って背中を撫でている。
「ゲートが可愛かったんだよ。ごめんね」
「···いいです。もう怒ってません」
ゲートはそう言ってルシウスの肩に顔を埋める。
「···二人は?」
「今の所は問題無い。···いや、無くはないが···」
「···また後で聞くよ」
ゲートをチラッと見たルシウスを見て、ゲートの前では言い難いことなんだとわかった。
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