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第142話
しばらくしてゲートは部屋に帰っていった。
俺はルシウスの側により「何があったの」とさっき聞けなかったことを聞く。
「···あの二人はラビスに玩具にされていた。」
「え···」
「それも毎日だったようだ。心の傷が深すぎる。」
「···でもさ」
何故か汚い部分が収まらない。
口を開けばいらないことばかり言うってわかっているのに、止められない。
「自業自得じゃないかな」
そんな俺の言葉にルシウスが息を呑む。
それから厳しい顔をして「それは傷ついている者にいう言葉じゃない」と言った。
「俺は死ななくてよかったとは思うけど、ある程度の罰は受けるのが当たり前だと思うよ」
「レヴァン」
「俺は今まで、あの二人を含む村人達に酷いことをされたよ。あの二人には犯されたしね。」
「···わかってる。けれど···どうしたんだ。いつものレヴァンじゃない」
「こんな話を冷静に聞けるわけがないでしょ」
好き勝手言ってるのはわかってる。
ルシウスを困らせているのはわかってる。
けれどどうして、俺が泣いちゃってるの。
「レヴァン、落ち着こう。」
「···離してっ」
両手を掴まれそのまま離してくれない。
離して離してと手を引くことしか出来ない。
「落ち着いて」
「···お、落ち着いてるっ」
「わかった。わかったから」
そのまま手を引っ張られて抱きしめられる。
いつの間にか体が震えていたようで、ルシウスに背中を撫でられ「大丈夫」と言われるとそれも少しましになった。
「レヴァンがあいつらに何をされたかも、知っている。村の出来事については何も言えないが、あいつらはレヴァンを自分から襲ったのか?···よく思い出せ」
「···違う、違うけどっ!それでも···それでもこの手で殺してやりたいよ!!」
そう言うとパチンと音が鳴り、頬に痛みが走った。
·········は?何だこれ。
「言っていい事と悪い事がある。」
「···い、今、俺のこと、叩いたの···?」
頬を撫でるとジンジンとして、熱を持っている。
「ルシウスが···俺の味方になってくれないなんて···思ってなかった。」
「違う。レヴァン、聞け」
「ルシウスなんて嫌いだ。もう二度と、顔も見たくない」
ルシウスから離れて、部屋を出る。
そのまま、邸の外に向かって歩いていく。途中で誰かが声をかけてきたけどそんなの知るもんか。
その中にアルフレッドさんの声があったことに気付かなかった。
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