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第145話

ジークの待つ部屋に帰るとジークは頬を膨らまして俺を見た。 長い間一人にしたのを怒っているらしい。 「どこいってたの!」 「悪い」 ジークを抱きしめて頭をポンポンと撫でるとそれだけで気持ちは落ち着いたのか「アル好きぃ!」と言って抱き締め返してくれる。 やはりルシウスのように、これだけ愛しくて大切で、可愛い相手を打つなんてこと俺はできない。 あいつは何を考えてるんだ?と真剣に悩む。 「アル?」 「ん?」 「アルは?俺のこと好きでしょ?」 「ああ。愛してるよ」 触れるだけのキスをすると嬉しそうに微笑んで俺の手を掴みそのまま握ったり力を緩めたりして遊んでいる。 「アルはいつ見ても格好いいね。何で?」 「お前もいつ見ても可愛いだろ。こっちこい」 ジークの手を引いて抱き上げ、椅子に座った俺の膝に座らせる。 「わっ!」 「あんまり可愛いことしてるとお前のこと食べるぞ」 「食べるの?痛いよ」 くすくす笑うジークの首元を軽く噛む。 ついた歯形に俺だけのものだという独占欲を感じて満足する。 「俺もアルのこと噛む」 「加減しろよ」 「うん!」 「───ッ!!痛てぇ···」 加減をしろと言ったのお思い切り噛まれて、思わず苦笑を零した。

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