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第147話

二人が眠った後、部屋を出た。 全てが終わったらレヴァンとしっかり話をしよう。 私が悪かったと謝ろう。 「ルシウス様、レヴァン様をご存知ありませんか?」 自分の部屋に戻ると少ししてフィオナがやって来た。 「さっき怒らせてしまった。部屋にいるんじゃないか?」 「いえそれがいらっしゃらなくて···ジーク様の所にも···」 「何···?」 「邸を歩いてたという証言はあるのですが、それ以外は何も。」 それを聞いてまた怒って邸を飛び出したか。と頭を抱えたくなる。 いや、悪いのは私だからそんな言い方は決してしてはいけないのだが。 「邸の周りを探してくれ。」 「わかりました。」 静かに出ていったフィオナ。 それを確認してから深く溜息を吐いた。 また、以前のような危険な目にあってないといいが… 不安になる気持ちを抑え込む。 そんな時、扉がノックされて、返事をすればアルフレッドが入ってきた。 「何だ」 「話がある」 「ああ。」 アルフレッドがソファに座り、私はその前にあるソファに腰掛ける。 「レヴァンの事だ」 「······何かあったのか」 「お前と喧嘩した話を聞いた。···レヴァンは悪くない。なのにお前はあいつを叩いたんだろ?」 アルフレッドに険しい顔でそう言われる。 それはもうわかっている事だ。誰に言われなくとも自分で理解している。 「そりゃあ邸から出て行くだろうよ。あいつは···自分に酷いことをしてきた人間を助けたんだ。それでさえ誇らしいことで、そう出来るあいつは凄いのに、それを褒め称える事もせずに本当は殺してやりたいと言えば怒るんだろ。お前はあいつのことを考えているようで、本当は何も考えていない。」 「言わせておけば···っ」 頭にカッと血が登って、大きな声が出た。 けれどそれ以上は何も言えなくて黙り込んでしまう。 「反論出来るのかよ。お前が怒るのは図星だからだろ」 「お前に、何がわかるんだ。親にでさえ忌み嫌われていたお前が!!」 その言葉を発してから、何てことを言ってしまったと後悔する。 それはアルフレッドを傷付けるだけの言葉だ。 「······ああそうだ。いつも一人だったから人の大切さや何を考えているかはお前よりもわかる。」 「···っ」 「お前はわかってない。人間の心は複雑なんだ」 「······お前は、レヴァンがどこにいるのか知っているのか」 「さあな」 フッと鼻で笑ったアルフレッドが立ち上がり部屋を出ていく。 それを引き止めることも出来ずに拳に力を込めた。

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