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第148話

目が覚めたら知らない部屋にいた。 嗅いだことのある匂いが鼻腔を掠める。 誰の匂いだろう···? フカフカの気持ちいいベッドに布団が俺を包んで、安心する。 「···気持ちいい」 暫くそうしていると部屋の扉が静かに開く。 そっちに顔を向けたらアルフレッドさんがいて、急いで起き上がった。 そう言えばさっき、アルフレッドさんにたくさん愚痴を零したんだった。迷惑をかけてしまったことの罪悪感に目を合わせられない。 「レヴァン、腹は減ってないか?」 「ぁ···大丈夫です。あの···アルフレッドさん」 「ん?」 「俺···迷惑ばかりかけて、ごめんなさい」 そう言うとアルフレッドさんは優しく笑って俺の隣に座り頭を撫でてくる。 「お前を迷惑だなんて思っていない。むしろ俺の兄貴がお前を不安にさせて悪い。」 「そんな···」 「ルシウスにはお前がここに居ることを伝えていない。話が出来ると思ったときにルシウスの元に行くのもいいし、このまま会いたくないならここに居るのも、ここから出て行くのも、すべてお前の自由だ。」 「······ルシウスは俺のこと嫌いになったんじゃないかな」 「そんな事は無い。もしそうであったとしたら、あいつは本当に下らない奴だったって話だ。そんな奴だったことを早く気付けて良かったと思えばいい。」 アルフレッドさんはそう言って俺に向かい笑顔を見せてくれる。 「アルフレッドさん。ジークは?」 「今は寝てる。あいつは飯を食うといつも眠たくなって寝てしまうんだ。子供だからな。」 アルフレッドさんからは本当にジークが好きだっていう気持ちが伝わってくる。 「アルフレッドさんはジークと喧嘩した時どうするの?」 「喧嘩···そうだな···あまりした事は無いが、そういう時は基本俺が先に謝るな」 「ジークが悪くても?」 「それでもだ。そもそもジークは俺が間違ったことをしない限り怒ったりしない。」 「ジークもアルフレッドさんも、すごいね。俺は俺が悪くても謝るの嫌なのに」 そう言うとアルフレッドさんはくすくす笑って、「お前も子供だったな」と言う。 普通なら、ムッてするはずなのになぜだか今は全くそんな感情にならないで、ただ落ち着いている。 「昼はもうとっくに過ぎた。そんなに減ってねえかも知らねえが飯は食え。わかったか?」 「うん」 「なら待ってろ。すぐに持ってくる」 「···ありがとう」 「ああ」 ポンポン、と頭を撫でられて、アルフレッドさんはそのまま部屋を出ていった。

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