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第150話

ルシウスside 一人で、何をどうすればいいのかわからず、邸内を彷徨いていた。 アルフレッドに助言をしてもらうことは、少し腹立たしいが、わからないことは聞かないと知ることは出来ない。 アルフレッドとジークのクラス建物の前でぼーっと上を見上げると一つの窓から手が伸びている。 そして、いつの間にかそれは手だけでなく、腕や、肩、頭までもが窓から外に出て… 「レヴァン!!」 「え···?」 見慣れた顔が窓からこちらを向いている。 危ない、もう少しでそこから落ちてしまう。 「何をしてる!!」 そこに居たのか、なんて言葉は出なくて、もしかして今ここで飛び降りようとしていたのではないかと不安になった。 「そこから動くな!」 慌ててそう叫び、レヴァンのいるであろう部屋に向かう。 そして扉を開き、驚いているレヴァンに詰め寄る。 「今、飛び降りようとしたのか!?」 「はぁ?」 レヴァンの顔が嫌そうに歪められる。 どうやらそういう訳ではなかったらしい。 「な、何をしてたんだ···」 「蝶々がいたから、捕まえたかっただけ」 「飛び降りようと、したわけでは···」 「無いよ。···あーあ、ルシウスに見つかっちゃった」 心底嫌そうにそう言われて何も言えなくなる。 謝るべきなんだろうけど、素直に口にできない。 「ルシウス?用がないなら出て行ってよ」 「···用は、ある」 「何?」 意を決して口を開く。 レヴァンの目を見つめた。 「すまなかった」 「············」 「レヴァンのことを、叩いてしまった。沢山傷をつけた。」 「······うん。俺ね、すごく痛かったんだよ。ルシウスは俺のことなんて、何も考えてくれてないんだって、思ったから」 なんて事をレヴァンに思わせてしまったんだろう。 何故か、”俺”が悲しくなって、視界がぐにゃりと歪む。 「···え、る、ルシウス?」 「···すまなかった。」 「泣い、てるの…?」 いつの間にか涙が頬を伝っていた。 レヴァンがそれに手を伸ばし優しく拭ってくれる。 「な、何で?何でルシウスが泣くの」 「本当に···俺が、悪かった···」 「俺、って···ルシウス、ちょっと落ち着いて。いつものルシウスじゃないよ」 「帰ってきてくれないか」 レヴァンの手を掴みそう言うと躊躇いながら一つ頷いた。 「いいよ、でも···ルシウスが今まで以上に、愛してくれるなら」 「ああ」 俺よりも小さな体を抱きしめる。 その温もりが心地好くて深く息を吐いた。 「あの二人は、どうしてるの?」 「家族が迎えに来た。今はまだ邸の中にいるが暫くすれば帰るだろう。···それより、レヴァン···」 「ん···っ、」 レヴァンを強く抱き締めたまま、キスをする。 温もりを感じたくて何度もそうしていると部屋の扉がノックされ、アルフレッドが入ってきた。 「俺の部屋でイチャつくな」 「あ、アルフレッドさん!あの、いろいろありがとう」 「ああ。また何かあれば外に逃げるんじゃなくて、まずはここに来い」 アルフレッドがレヴァンの頭を撫でる。 レヴァンは嬉しそうに頷いて、二人がいつの間にかこれだけ仲のいい関係になっていたことに少しだけ嫉妬した。

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