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第3話 幸せな日々3
「もう一回ダメ? 雅文」
「う」
黒崎は沢井のこの表情に弱い。
少し吊り気味の切れ長の目の所為で、沢井は一見冷たげな印象を与える美形なのだが、こんなふうにおねだりしてくるときはなんだか可愛く見えて。
黒崎よりずっと大人で、外科医師としても随分前を歩いている沢井に甘えるように強請られると、もうとめられない。
「……も、もう一回だけ、だよ……?」
消え入りそうな声でおねだりを受け入れると、沢井は二人きりじゃないと決して出さない甘ったるい声で名前を呼んでくれる。
「雅文……」
そして同時にその手が黒崎の最奥へ触れたかと思うと、ゆっくりと指が一本挿入された。
「あっ……、やっ……あ……」
「淫らな体だな、雅文……奥を洗ってやってるだけなのに、感じちゃって……」
「違っ……、和浩さんの手がやらしいんじゃないか……あっ……」
「ほら、じっとして雅文。……俺いっぱいおまえの中に出しちゃったから……」
さっきの甘えた顔はどこへ行ったのか、沢井は大人の色気たっぷりに囁く。
「和浩さん……だめ……そこ……」
否定の言葉を紡ぎながらも黒崎は沢井にすがりつき、底なし沼のような深い交わりの世界へと身を投じて行った。
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