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第4話 不穏
翌日の午後、黒崎は少しおぼつかない足取りで、最寄り駅までの道を歩いていた。
結局、昨夜はお風呂でまた二度もしてしまった。
ほんと、和浩さんって体力あるなー。
昨夜眠るのが遅かったというのに、沢井は朝一で入っているシフトのため早起きして、朝食の用意を済ませて、勤務先への病院へと出かけて行った。
彼を見送るために一度は早く起きた黒崎だったが、沢井が出かけてしまうと、再び倒れ込むようにベッドへともぐりこんだ。
外科医には体力が必要だから、俺ももう少し頑丈にならなきゃ。
……でも、あれだけ激しいセックスを何度もされちゃうとな……。
昨夜の情交のあんなこんなを思い出し、一人赤面しながら重怠い腰を無意識にかばいながら歩いていると、いかにも高級そうな外車が黒崎の横を通り過ぎ、少し前方でとまった。
黒崎が何気なくその外車の方を見ていると、後ろのドアが開き、屈強な男二人が降りて来た。
そして何故かその男たちは真っ直ぐに黒崎の方へと歩いて来る。
なんとなく嫌なものを感じ、黒崎は後ずさって彼らから離れようとした。
しかし二人の男は大股で傍までやって来ると、黒崎の体を挟み込み両腕をつかんだ。
「……っ……何するっ……」
男たちの力は強く、黒崎が痛みを訴える。
「離せよ! おまえたちなんなんだよ!?」
「あまり暴れないでください、雅文様。荒っぽい真似はしたくありませんので」
「……? 何で俺の名前を?」
黒崎が眉を顰めて聞いても、男たちは答えず、そのまま引きずられるようにして車のすぐ傍まで連れて行かれた。
訳が分からないままにも抵抗する黒崎の目の前で、助手席の窓がゆっくりと開いて行く。
やがて窓が全開になり、中に乗っている人物の姿が現れる。
「……久しぶりだな、雅文」
「父さん……?」
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