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第11話 父親の脅し2
「なっ!? 父さんっ……」
自分の耳を疑った。
和浩さんの右腕をぐちゃぐちゃに……二度と外科医師として働けなくなる……。
「そんなこと、絶対に許さないっ……!!」
「そう思うなら会社を継ぎ、T社の令嬢と結婚するんだ、雅文。おまえが私の言う通りにすれば、沢井には手出しはしない」
「……っ……どこまで汚いんだ……あんたは……!」
「汚いのはおまえの方だろ、私は息子をゲイなんかに育てた覚えはない。……雅文がこんなふうになったのはおまえの所為だな」
父親は、今度は母親の方を見て言った。
「美容師だか何だか知らんが、ちゃらちゃらした仕事をしてるから雅文が道を誤まるんだ」
「何よ!? あたしが悪いって言うの? 冗談じゃないわ。雅文が勝手に男とできたんじゃないの」
目の前で汚く罵り合う両親を茫然と見ながら、黒崎は絶望の底にいた。
会社を継ぎ、顔も見たことのない女性と結婚しなければ、和浩さんが傷つけられる……。
どちらに転んでも黒崎にとっては最悪だった。
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