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第13話 監禁2
黒崎が閉じ込められたのは来客用の部屋で、内装はさながら高級ホテルのシングルルームのようだ。
広いベッドにライティングデスク、冷蔵庫、勿論トイレもバスルームもある。
黒崎の記憶にあるこの部屋には外側から鍵などかけられるようになっていなかった。
黒崎をこの屋敷へ連れ帰り、この部屋へ閉じ込めるために改造したのだろう。
父親の用意周到さが恐ろしいほどだ。
黒崎はガチャガチャとドアノブを回してみたが、重厚な扉はやはり開かない。
黒崎はフラフラと窓際により、窓を開ける。
こちらは苦も無く開いた。
窓の外はもうすっかり暮れていて、秋の夜風が滑らかな肌に触れる。
そのひんやりとした感触が半ば茫然自失状態に陥っていた黒崎に現実を与える。
裏庭に面しているため、外灯も何もない漆黒の闇を見ながら強く唇を噛みしめる。
和浩さん……心配してるだろうな。病院のみんなも……。でも今の俺には何できない。
絶望感に苛まれながら黒崎は沢井を想う。
和浩さん……俺、どうすればいい?
このままじゃ、俺、あなたと結婚してるのに、他の誰かと結婚させられちゃう……。
そんなの絶対に嫌だ……!
でも、もし父さんに逆らったら……。和浩さんの右腕はめちゃくちゃにされてしまう。
あの人は、和浩さんは俺よりもずっとずっと優秀な外科医で、彼に命を救われた人は数知れない。
まさに外科医師になるために生まれて来たような人と言っても過言ではない。
誰よりも愛する人であると同時に、誰よりも尊敬している人。
沢井の運命を決めるのは黒崎が選ぶ答えにあり、その事実が重く肩に伸し掛かって来る。
黒崎は力なくベッドに腰かけた。
優しく笑いかけてくれる沢井を思い浮かべる。
和浩さん……本当に、俺はどうすればいい?
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