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第17話 悲愴な決意
*
父親から誘拐されるような形で屋敷に連れて来られ、二階の、外から鍵がかかる部屋に閉じ込められて四日が経っていた。
食事は三度、決まった時間に父親の部下が運んで来る。
当たり前だが食欲などあろうはずもない。
自分が沢井の元へ帰れば、沢井が傷つけられる。
それは黒崎にとって何より強硬な呪縛だった。
……和浩さんのところへは帰れない。でも。
黒崎に残された時間は少ない。
あと三日すれば見合いをさせられてしまい、否応なしに結婚まで話が決まってしまうだろう。
沢井に全てを捧げてる身で、そんなことになるのは耐えられない。
黒崎は決めた。
ここから逃げよう。
逃げてどこかで一人で暮らそう。
俺がいなくなれば父親もきっとあきらめるだろう。
和浩さんとはもう二度と会えない……そう考えただけでもえぐられるように胸が痛むけれども。
和浩さんを傷つけられるのだけは絶対にやだから。
俺が傍にいると、和浩さんが危険にさらされるから。
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