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第19話 脱出の方法

 深夜、黒崎は窓から下を覗き込む。  とりあえず下へさえ降りてしまえば、あとは広い庭を思い切り走り抜け、塀の傍にある大きな木を辿って外に出ればいい。  闇にまぎれて逃げるつもりだが、まずどうやって二階にあるこの部屋から抜け出すかが問題だった。  近くに木はなく、壁は垂直にストンと落ちていて、足をかけるとっかかりはない。  飛び降りると、下手をすれば大けがをする恐れがあり、そんなことになったら目も当てられない。  何かロープの代わりになるものでもあればいいんだけど。  殺風景な部屋で使えそうなものと言えば、ベッドのシーツくらいだろうか。  あれを引き裂いてひも状にして、ベッドの脚にくくりつけて、壁をつたって降りるしか方法はなさそうだ。  シーツに俺の体重を支える強度ってあるのかな?  映画などではよくそういうシーンを観ることがあるが、実際試してみたことなどないので、分からない。  もともと体重は軽い方で、その上この四日間で随分やせたことが不幸中の幸いと言えるかもしれない。 「やってみるしかないか。ある程度までもってくれたら、あとは飛び降りても大けがすることなさそうだし」  黒崎は呟くと、シーツを剥ぎ引き裂いた。  そのとき、外側から鍵がかけられている扉が勢いよく開いた。

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