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第21話 凌辱の危機

「父さん……!」 「雅文、他の男に散々弄ばれれば、おまえも沢井の元へ戻ろうという気など起こさなくなるだろうし、沢井もおまえに愛想をつかすだろう。おまえたちの関係など所詮その程度のものだ」 「……!」  信じられない……いや、信じたくなかった。  これが実の父親のすることだろうか?   我が子に対する愛情なんて、これっぽっちもない。  あまりに非情な展開に、茫然となる黒崎。  父親は蒼白な息子を一瞥すると、 「済んだら、鍵を掛けて、私の部屋へ来い」  部下の男に部屋の鍵を渡すと、出て行った。  今なら鍵が開いてるから、逃げ出せるかもしれないという希望は持てなかった。  ドアを塞ぐ用に男が立っているからだ。  父さんが相手の時とは違う。  自分が力いっぱいぶつかっても、恐らく跳ね返されてしまい簡単に男に捕まってしまうだろう。  黒崎はじりじりと後ろへ下がると、窓の方へと逃げた。 「それ以上近づいてみろ! ここから飛び降りてやるからな」  本気だった。  凌辱されるくらいなら二階から飛び降りてケガをする方がまだマシだ。  しかし、男はためらうことなく黒崎の元へと歩いて来る。  黒崎は窓の枠に手をかけ、そこから飛び降りようとしたが、男のごつい手がそれを遮る。  背後から抱きすくめられる形で、窓から引き剥がされると、そのままベッドの上へと放り出された。 「大人しくなさってください、雅文様。乱暴にはしたくありませんから」 「やめろっ……」

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