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第22話 凌辱の危機2

 腕を振り回し抵抗するも簡単に押さえつけられ、男の屈強な体が伸し掛かって来る。  頬に男の手が触れる。  男から微かに整髪料の匂いがした。  沢井が纏うシャンプーの匂いとは全く違う香りや、伸し掛かられたとき体に感じる重さの違いは、黒崎に絶望感しか与えない。 「雅文様は、本当にお美しい……あなたを抱けるなんて、とても光栄です」  男のそれなりに整った顔が近づいて来て、黒崎にキスをした。  沢井のものではない唇の感触に怖気が走る。 「……っ……」  男が小さく声を上げ、はじかれたように黒崎から顔を離した。  その唇から血が滴っている。  黒崎が思い切り噛んでやったからだ。 「……仕方ありませんね、雅文様、少しの間我慢なさってください」  男はそう言うと、黒崎の口の中へハンカチのようなものを突っ込んだ。 「……っうぐ……」 「ご無礼をお許しください、雅文様。私の唇くらいならまだしも、ご自分の舌でも噛んだら大変ですから」  気持ち悪いくらい優しい声でそう言うと、黒崎の着ているシャツのボタンをゆっくり外して行く。  今、黒崎が身に着けている黒いシャツは去年のクリスマスに沢井がプレゼントしてくれたものだ。  その大切なシャツに、こんなふうに触れられるのが耐えられなくて、黒崎は男を睨みつけた。  しかし、黒崎がいくらきつく睨みつけても、男は決して怯むことはない……いや、かえって興奮が増して息遣いが荒くなってきている。  なんとか男の下から抜け出そうとしても体格の差は歴然で、到底適うことなどなさそうだ。

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