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第25話 救い

「雅文っ!」  ……えっ……?  この声……和、浩さん……?  信じられなかった。  開かれたドアの前には沢井が険しい顔をして立っていたのだ。  沢井は黒崎が男に組み敷かれている状態を見て、これ以上はないくらい怖い顔になった。  端整な顔を怒りの感情だけで凍り付かせて。 「俺の雅文に触るんじゃねぇ……!」  地の底から響くような激しい怒りと憎悪の声で、沢井が言ったかと思うと、ベッドへ近づいて来て、いとも簡単に黒崎に伸し掛かっている男を引き剥がす。  沢井は靴のまま上がってきたようで、男をその靴で思い切り蹴り上げた。 「ぐぅ……」  沢井の渾身の蹴りは男にそれなりのダメージを与えたようで、男が束の間、カーペットの上にしゃがみ込む。  その隙を見て沢井が黒崎のもとに来て、口の中に押し込まれていたものを取り出し、拘束されている手を自由にしてくれる。 「雅文……大丈夫か!?」

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