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出会いは……③
「ミヤイチ ナギサ……」
去っていった男性の名前を反復する叶芽は暫く彼の後ろ姿を見つめていた。
「いたー!!」
「……っ!?」
いきなり大声で聞き覚えのある声が響いてきて叶芽の肩がビクッと跳ねた。
恐る恐る振り返ると、鬼の形相でこちらに走ってくる佑真の姿があった。
「……佑真」
「お前ふざけんなよ!!
どんだけ探したと思ってんだ!?」
「ごめん……」
「ったく、首輪どころかリードも付けとかないとダメか?」
恐ろしい事を言う佑真に今さっき男に絡まれてたなんて言ったら本当に首輪とリードを付けられそうだと、先ほどの事は胸にしまう事にした。
暫くネチネチと叶芽を叱った佑真は、叶芽の腹がぐぅ~と鳴ったので漸くファストフード店へ向かった。
大きな口を開けて、口いっぱいに頬張る叶芽。
「美味いか?」
「うん。甘ったらしく無いから美味しい」
辛い物が大好物な叶芽は逆に甘い物はあまり好きではない。
食べられなくはないが、積極的は食べない。
「あのさ佑真、あとで行きたいところあるから行っていい?」
「いいけど何処に?」
「うん、まぁ……」
言葉を濁す彼に嫌な予感がする。
食事を終えると佑真が叶芽の分の料金も払ってくれて、2人は叶芽の行きたいところに行くことにした。
「………お前も懲りねぇな」
着いた場所は香辛料が売っている場所。
叶芽はまだ諦めていなかったらしい。
「あ、これ……」
叶芽が手に取った瓶にはブート・ジョロキアと書かれていた。
「何それ……」
「辛いやつ。
本当はもっと辛いの欲しかったけど無さそうだからこれにする。
こう言うのネットで買おうとすると親にバレるからこう言うところで買おうかなと……」
そう言ってそれをレジに持っていった。
佑真ももう言うのも面倒なのでただ見ているだけにした。
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