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再会⑨
『今日もバイト大変ですね。
頑張れるように応援してます!!』
『ありがとー』
あれからいつの間にか叶芽とよくやり取りするようになっていた。
念を押すが、高級菓子をくれたからではない。
確かにあれは美味しかったし、家族も相当喜んでいたし、とても礼儀正しくてイイコだなぁと言う印象だが、第一に感じたのは彼と話すのは楽しい。
少々不思議ちゃんな所や、飾らない感じがまたいい。
こちらも素で話せてる気がする。
たまにバイト先のカフェにも来てくれる。
こちらが仕事中はただ静かに食事を堪能していて、その後『今日も美味しかった』とメッセージをくれる。
しかし直接話せる機会が少ない。
バイトもあるし、バイトが無い時は家の事もあるので、中々会う機会が無い。
「はぁ……」
「どうしたの?ため息ついて」
この日はカフェではなく、コンビニのバイトだ。
バイトは2ヵ所掛け持ちしている。
店裏でスマホを見ていた所、バイト仲間の女性から声を掛けられた。
「いや、何でもないです」
「そう?いつも完璧な宮市君がため息なんて珍しいから……」
「完璧だなんてそんなこと無いですよ」
謙遜するも、またまた~なんて肩を叩かれる。
「宮市君大人っぽいから、私より年下に見えないよねー。
ホントカッコいいし」
「そうですかね……?」
19歳の大学生だと言う彼女は、よく渚に話し掛けてくる。
自分に向けてくる仕草や話し方などから、自分に気があるように見える。
残念ながら彼女に対しては好意など一切無い。
寧ろこんな風に馴れ馴れしい人間は男女問わず苦手だ。
渚はスマホをしまってさっさと業務についた。
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