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二人の距離⑤
ファミレスを出ると渚は遅くなってしまったので家まで送ると言った。
それは申し訳無いので断るが、また誰かに絡まれたらシャレになんないと強引に着いてくる。
「なんかごめん。
しかもご飯も俺の分まで……」
やはり奢られるのはモヤモヤが残る。
お金なら持ってるのに、奢られていいんだろうか?
「いいのいいの、気にしないで。
俺その為にバイトしてるんだし」
だから奢られててよと言うので、仕方無くうんと頷いた。
段々日没の時間が遅くなってきたものの、既に暗くなってしまった夜道を並んで歩く2人。
何だか隣にいるのが緊張する。
チラリと横を見る叶芽は横顔もイケメンだなぁなんて思った。
「今日はありがとね、カナちゃん。
楽しかった」
「俺も、楽しかった。
あの……また一緒に遊びに行きたい……」
もっともっと彼の事を知りたいし、一緒にいたい。
佑真以外に遊ぶ友達が出来たのがとても嬉しかったし、楽しかった。
まぁ彼が自分を友達だと思っているかは分からないが……
「俺も。
またどっか行きたいな。
時間が出来たらまた連絡するね」
「………っ!!
うん………」
それでも"また"と言う言葉に心を弾ませる。
佑真以外に出来た俺にとっては友達。
佑真のように彼も親友になれたらいいなと思った。
叶芽の家は待ち合わせの駅から2駅電車に乗らなければならない。
ここでいいよと言うが、渚は家まで送ると電車にも一緒に乗ってきた。
「あの……流石に悪いんだけど……」
こんなに色々とさせていいのだろうか?
だが渚は爽やかな笑顔を見せこう言った。
「だって、もっとカナちゃんと喋りたいもん」
「………っ!!」
そんなことを言われてしまえば何も言えなくなる。
しかもキザな台詞もさらりと屈託なく言える所がまたカッコよくてズルい。
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