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友達とは……②
両親から逃げた叶芽はオカメインコのいる部屋に行き、2羽をケージから出すと手に乗せて戯れ始めた。
相変わらず可愛いなぁとスマホを取り出し写真を撮る。
止まり木に止まらせて、おもちゃで遊ばせている所や顔をアップでパシャリと撮影する。
「可愛いなぁお前ら
ホント可愛い。ヤバッ……」
この写真を渚に送ってやりたい。
以前鳥は好きかと聞いたら好きだと言ったので、この子達の写真を送ったら可愛いと言ってくれた。
お世辞なのかもしれないが、彼は本当に可愛いと思ってくれてる気がしたので送ってみると、すぐさま「ひよこちゃんとクロちゃんだ」とメッセージが来て、ちゃんと名前まで覚えててくれた。
そして「今電車」と送られてきたので、「送ってくれてありがとうございました。お手数お掛けしました。今度は俺がナギを送れるようになります。」と送った。
「ふふっ、こう言うとこ可愛いよなぁ」
渚はスマホに送られてきたメッセージを見ながら独り言を呟いた。
今回彼と初めてちゃんと喋ったと思う。
そこで気付いたのは彼といるとずっと笑っている自分がいたと言うこと。
正直で純粋。
Ωだからと悲観する事もない。
きっと大変な事も沢山あるのだろうが、それを感じさせない。
「強いな」
その内に目的の駅に着き、スマホをポケットにしまって電車を降りた。
「ただいま」
「お帰り」
家に帰ると母親が出迎えた。
普段はスーパーで働いている母。
今日は昼だけなので渚は夕飯を作る必要は無い。
テーブルを見るにもう既に食後のようで、皆それぞれスマホを弄っていたり、ゲームをしていたり、宿題をしていたりと自由な時間を過ごしていた。
「アンタご飯食べてきたんだけ?
何か食べる?」
母親が渚に聞いてくる。
一応外で食べてくると言っていたので渚の分は作ってないようだが、何か食べるなら作るつもりのようだ。
「いや、いい」
「そう」
渚が何処で何しようが特に詮索されることはない。
それは渚だからと心配していないから。
渚としてはその方が楽なので有り難い。
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