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二人の気持ち②

 一方叶芽は自宅に帰り、オカメインコと戯れながらも渚から連絡が来るかもとスマホをずっと握りしめ気にしていた。  だが一向に連絡は無い。 「はぁ……」  思わずため息が漏れる。  するとオカメインコのひよこが肩に乗って来て、心配そうに顔を覗き込んできた。 「ふふ、大丈夫だよ。 よしよし……」  頭を撫でてやると気持ち良さそうに目を細める。  そんなひよこを羨ましそうにクローは見ていて、自分も撫でてと傍に寄って来たので撫でてあげる。  なんとも可愛い姿に少し心が安らいだ。  オカメインコに慰められた叶芽は明日自分から連絡してみようと思った。  こんなことで彼と疎遠になりたくない。  それに、渚からのキス……  嫌じゃなかった……… 「俺、ナギの事好きってこと……?」  嫌じゃなかったなら自分は渚を好きなのだろうか……?  今まで恋愛をしたことがなかった。  だから好意と言うものがどう言う事なのか分からなかったが、渚への感情は佑真へ抱く感情とは違う気もする。  どう違うかと聞かれても具体的に言えるわけでは無いが、傍にいるだけでドキドキするし、彼の綺麗な顔を見るのも好きだ。  それにいつだって自分の事を肯定してくれて、一緒にいて兎に角楽しい。  これが恋だと言うのならどうしてもっと早く気付かなかったのか……?  いや、気付いてしまったのか……  もしもっと早く気付いていたら何か違っていたかもしれない。  そうじゃなくて、逆にこれが恋だと気付かなければこんなにも苦しい思いをしなくて済んだのでは無いだろうか? 「ふっ………」  でももうこれが恋なのではと気付いてしまったから、渚ともう元の関係に戻れないと涙が溢れた。  溢れ落ちる涙に2羽のオカメインコは不思議そうに見ていた。  叶芽は何故か見られたくなくて、2羽を止まり木に乗せ、少し離れたところで泣いた。

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