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二人の気持ち④
この日待ち合わせた駅の前に叶芽は到着すると、数メートル先に渚を見つけた。
いつもなら足早に彼の元へ駆けるのに、今日は足が重たい。
それでも1度深呼吸をすると渚の名前を呼んだ。
「ナギ」
「……カナちゃん」
こちらに向ける渚の表情はいつもより固いが、それでも笑顔を向けてくれた。
「え~と取り敢えず何処か落ち着いて話せる場所に行く?
どこ行こうか……」
いつもより緊張した面持ちの渚に釣られ叶芽も緊張が増してしまう。
「どうしよう……
またうちのマンションでもいいよ?」
そう言うと渚はうんと頷いた。
2人は再び柊家の所有するマンションへやって来た。
2回目の渚は前回よりも躊躇い無く入れたが、叶芽にキスした所へまたすぐ来たことになんでここに行くと同意したのだろうと少々後悔気味だ。
「どうぞ……」
「お邪魔します……」
叶芽に招かれて入ったマンションの一室。
改めて見ると本当に豪華で、モデルルームのようだ。
リビングへ来ると前回座ったソファへ腰かける。
その斜め左には1人掛けのソファ椅子があり、叶芽がそこへ座った。
改めて向き合い、話さなければと思うも2人とも中々言葉が出ない。
そんな中で渚がようやく先に口を開いた。
「あの、この前はごめん……
折角家で休ませて貰ったのに、勝手にキスして勝手に帰って……」
「………っ」
渚の謝罪に何か言いた気の叶芽だが、言葉が詰まって何も言えない。
本当はキスは嫌じゃなかった、渚の事が好きだと言いたいのに心臓がバクバクして言えない。
すると渚が言葉を続けた。
「ねぇカナちゃん、聞いて欲しい。
俺がキスした理由」
「………っ」
キスと言う言葉に叶芽は身構える。
「帰ってから色々考えて、なんでキスしたんだろって。
それで出た結論はさ、俺、カナちゃんの事が好きだって」
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