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恋人②
騙されているのでは……?
佑真は柊グループ社長の息子と仲良くなりたいだけではと渚を疑った。
恋愛経験の無い叶芽の事だから好きだと言う言葉を純粋に信じ込んでしまっているように感じた。
だがそんなことを言われて叶芽は穏やかではいられない。
「俺は騙されてなんか無いし!!
何も知らないくせに人を悪く言うのはあまりにも失礼だよ」
「………っ」
珍しく叶芽からの正論に反論出来なかった。
何も知らない……
そうだ、だからこそモヤモヤしてしまう。
「会ってみればいいよ。
ナギがいい人って分かるから……」
「そうするよ」
以前から会う約束はしているので、この際言いたいことも全部言ってやろうと思う。
するとオカメインコ部屋がコンコンとノックされた。
現れたのは家政婦の斐紹だ。
「2人共おやつ用意出来たからリビングおいで」
そろそろおやつの時間と言うことで2人は斐紹の後ろを着いてリビングへ向かう。
テーブルに着くと出されたのはパンだった。
「今日はチーズパン。
生地がモッチモチなんだ」
「へぇ~美味しそう。
頂きます!!」
「頂きます」
甘いものはあまり好きではない叶芽の為に、しょっぱいものを用意している。
「美味しい」
「美味い」
「良かった」
2人のお気に召したようで斐紹はホッとした。
すると2階の仕事部屋から母、千歳が降りてきた。
「あ、千歳様もチーズパン召し上がりますか?
それとも何か甘い物を用意しましょうか?」
千歳は仕事していたので甘い物が良いかと斐紹は思う。
「いや、パンでいいよ」
「かしこまりました」
斐紹が用意をしている間に千歳は叶芽の隣に座った。
「佑真君と会うのも久々だな。
色々忙しいのか?」
「まぁ塾やら父親にパーティーやら色々連れられて行ったりしてました」
「ははっ凄いな。
叶芽も少しくらい佑真君を見習って勉強を頑張るとかやって欲しいがな」
「俺は毎日健康に生きるのが仕事だからいいの」
「全くお前は………」
佑真が来ると必ずと言っていい程母に比べられると叶芽は不満だ。
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