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恋人③

「お邪魔しました」  帰る時間になり佑真は叶芽の家からお暇する。 「じゃあカナ、彼と会うの楽しみにしてるから」 「……なんでそんなに嫌な顔するの」 「別にしてねぇよ。 楽しみにしてるっつってんじゃん」 「全然そう見えない。 佑真って意外と性格悪いよね」 「今更気づいたのかよ。 俺が性悪なのは昔からだ」  売り言葉に買い言葉。  けれど佑真に口で敵うなんて事はなく、結局は叶芽が負けて終わる。  そしてこの日の放課後、佑真を連れていつもの渚との待ち合わせ場所に向かった。 「あ、いた。ナギ~!!」  叶芽が手を振る先には茶髪で制服を来た長身の男がいる。 「カナちゃん」 「カナちゃん……?」  カナちゃんと呼ぶその男に変な呼び方しやがってと佑真は内心悪態をつく。 「君が佑真君? 俺は宮市渚、宜しく」  握手をしようと渚は手を差し出す。  佑真も差し出された手を取った。 「沢田佑真。 つうかアンタこいつと付き合ってるってマジ?」  低い声で睨むように見る佑真に、ああやっぱ歓迎されてないなと渚は感じる。 「そうだよ」 「ふ~ん……… じゃあさ、単刀直入に聞くけど、カナが柊家の人間ってことで利用するために付き合ってるんじゃねぇの?」 「ちょ、佑真? 何言ってんの!?」 「お前は黙ってろ」  突然失礼な事を聞く佑真を制止するも一蹴されてしまう。  制服を気崩してチャラチャラした雰囲気に佑真は不信感を抱いた。  一方利用しているのではと言われた渚は動じることなく見据える。 「俺がカナちゃんを利用? まぁ、確かにうちビンボーだし? 格差恋愛って言われても否定しないけどさ。 君は俺の何を知ってそんなこと言ってんの? 何も知らないで人の恋愛にとやかく言うもんじゃないよ」  自分がどう言われようがしょうがないと思う。  αと言えどαの中ではエリートではないと思っている。  家柄もとても自慢出来るものではない。  けれど、自分の叶芽への思いを否定されたくはない。

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