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恋人④

 会って早々険悪な2人に右往左往する叶芽。  これでは折角の楽しい時間が台無しだ。 「ちょっと佑真止めてくんない? ナギが俺を利用するとか騙すなんて絶対無いから!!」  必死に佑真を落ち着かせようとするが全く叶芽の方を見ようともしない。 「言っとくけどな、こいつはアホなんだよ。 だから何も考えてないし、すぐ騙される。 こいつ1人じゃなんにも出来ないバカだから俺が着いてやらないとダメな奴なんだよ!!」  そう言った直後やってしまったと思った。  漸くここで叶芽の方を見ると、そこには泣きそうな叶芽の姿があった。 「………俺がアホでバカなのは知ってるけど、そこまで言わなくてもいいじゃん!!」  言い過ぎた………  だけど気づいた時にはもう、遅い……… 「ごめ……」 「もういい………」  そう言って叶芽は渚の手を取って佑真の元から去って行ってしまった。  違う……  そんなこと思ってない……  ただ突然現れたような男に叶芽を取られるのが嫌だっただけなのに……… 「なんであんなこと言ったんだろ……」  佑真は後悔でその場に立ち尽くしていた。  一方、渚の手を引いて佑真の元から去った叶芽。  彼の目からは1滴の涙が零れ落ちる。  そんな彼に渚はこう話す。 「ごめんカナちゃん。 俺が煽り過ぎたから………」 「ナギは何も悪くない!! 俺が、ちゃんとして無いから佑真にもあんな事言われる……」  いつも佑真に頼りきりだった。  文句を言いつつもなんだかんだ助けてくれる彼に、甘えきっていた。  その結果がこれだ……… 「それは違うでしょ。 ずっと一緒にいた幼馴染みだからって何言っても言いわけじゃない。 それに俺はそんなカナちゃんの全部引っくるめて好きなんだ。 佑真君も多分本気でカナちゃんを馬鹿にする気はなかったと思う。 俺がケンカ売るような言い方しちゃったから」 「……ナギは悪くない」  あくまでも自分が佑真を煽ったからと謙遜するような言い方をするが、彼にそんなことを言わせたくないと叶芽は思う。 「うん、ありがと」  2人の繋いだ手がぎゅっと互いを握った。

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