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恋人⑤
この日折角のデートだったのに水を差された形になってしまい、叶芽と渚はまた柊家のマンションでゆっくり過ごすだけとなった。
「ごめん……」
「カナちゃんのせいじゃないし。
近々バイトも減らすから、その時ゆっくりデートしよ」
「うん………」
ソファの上で渚の肩に身を委ねる。
渚は慰めるように叶芽の肩に手を回し、頭にキスをする。
渚は思う。
今後も自分と付き合う事で色々な障害にぶつかる事になるんだろうなと。
αとΩ。家柄の差。価値観。
きっと今回みたいに叶芽を泣かせてしまうことも多々あるかもしれない。
だからせめて自分だけはどんなことがあろうとも彼の味方であろうと思った。
結局何をするでもなく一緒に居ただけのデートで終わってしまった。
家に帰った叶芽は明日佑真に会いたくないなと思ってしまった。
いつも一緒に登校しているのでどうしようと悩む。
考えるのもめんどくさい。
きっとこう言う所がバカでアホだって思われてるんだろうなと思った。
何も考え無いまま翌朝になる。
「おい叶芽何してる?
遅刻するぞ!!」
「ん~………」
母親に急かされながら学校に行く準備をする叶芽。
「早くしないと佑真君も迎えに来るぞ。
あんま迷惑をかけるんじゃない」
「……今日は佑真とは行かない。
さっき今日は一緒行けないってメッセージ送ったから」
「はぁ?」
こんな状況で佑真と接触など出来ない。
メッセージの返信は来なかったが、既読はついたので了承したのだと思う。
しかしそんなことは寝耳に水の千歳は呆れ返ってしまう。
「そう言う事をなんでこんなギリギリになって言うんだ。
佑真君とケンカしたか知らないが、車を出す方の身にもなって考えろ!!」
佑真と一緒行かないと言うことは叶芽を学校に送る為に車を出さなくては行けない。
千歳は免許を持っていないので、麻人が通勤の為に雇ったドライバーについでに送って貰うしかない。
しかも会社に行く道中に迂回して学校に行き、それから会社に行くので時間が掛かる。
麻人も少し早めに出なければならないのだ。
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