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甘い時間⑧
今日は出掛けて疲れただろう。
寝ていいよと頭を撫でてあげると叶芽はすぐに眠りについてしまった。
さて、これからどうしようか……
取り敢えず精液で汚れてしまった叶芽の身体を綺麗にしてあげなければならない。
渚は辺りを見渡して近くにティッシュを見付けたので、小声で拝借しますと誰にも届かない断りを入れて取り出した。
「うわっなんかこのティッシュ柔らかっ!!」
そのティッシュは明らかに普通のティッシュでは無い。
とても肌触りが良く、きっと高級品なのだろうなと使うのを躊躇ってしまう。
勿体無くて少量を手に、洗面所へ行き水でティッシュを濡らし戻って叶芽の身体を拭いた。
そして脱いだ服をまた着せて、ひと息ついた所で眠る叶芽の顔の傍に腰掛ける。
こうしてじっくり見てみると睫毛が長く、綺麗な顔をしていると思う。
渚はその綺麗の顔の頬に軽く触れるだけのキスをした。
「俺も眠くなっちゃったな」
ぐっすり眠っている叶芽を見て自分も眠くなってしまった。
少しだけ自分も眠ろうと、横になる。
「ん…………」
漸く目が覚めた叶芽。
ぼーっとする頭で自分は何してたんだっけと記憶を手繰り寄せる。
確か、渚と………
「…………っ!!」
渚とあんなことやこんなことをしてしまったんだと、あられもない姿を晒してしまったと羞恥心に顔が真っ赤になる。
そして横から気配がする事に気が付いて、横を向くと渚の寝顔がドアップで映し出された。
「ナ、ナギ………」
はっきりとした顔立ちの彼はまるで彫刻のようだ。
その美しい顔に見惚れていると、不意に彼の目が開いた。
「あ………」
「カナちゃん起きたの?
おはよ」
「お、おはよ………」
どっこいしょと渚は起き上がると、今何時だと時計を見る。
「あれから1時間くらいか……
あ、カナちゃん身体大丈夫?
何処か痛いとか無い?」
「うん、大丈夫」
そう答えると、そっかとほっとしたように微笑んだ。
「ああそうだ。
一応確認してみたけどシーツはざっと見、汚れは無さそうだけど、大丈夫かな?」
人ん家のベッドを勝手に使って、いかがわしい事をしてしまったことには少々罪悪感を覚える。
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