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格差⑥
「俺こう言うデザイン好きだな」
叶芽は一つの指輪を指差しそう言った。
シンプルながらもお洒落なその指輪を渚も気に入った。
「5000円か………」
今月の小遣いは全て飛ぶが、買えない値段ではない。
指輪にしては安い方だろう。
「じゃあカナちゃんに買ってあげるよ。
服買ってもらったし、お返しってことで」
この指輪だけでは全然お返しにならない値段だが手持ちがこれ以上は無いので仕方無い。
「う~ん、じゃあ俺ナギにおんなじの買う。
お互い指輪の交換みたいで良くない?」
「え、う~ん……そうだね。
うん、そうしよっか」
お互いの指輪をお互いにプレゼント。
渚には決して安くない指輪だが、値段以上に価値のあるものになると思った。
そして指輪を2人それぞれ買って店を出た2人。
何処かで指輪交換したいが食材の買い出しはどうしようかと言う話しになる。
「結構寄り道しちゃったけどどうしようか?」
「ナギの手料理食べたいけどまた今度でもいいよ?
マンションでゆっくりして何か出前でも頼めばいいし。
ナギの手料理の楽しみは後に取っておくって感じで」
「ははっ、俺の手料理なんてそんな大層なもんじゃ無いんだけどなぁ……」
物凄く楽しみにされてるのは嬉しいやらプレッシャーやら……
あまり期待はして欲しくないなぁと思う。
「て言うかいつもカナちゃん家のマンション行くのもなんか悪いし、どうせならここら辺散歩する?」
「別にいつもマンションでも俺はいいんだけど……
でもこの近くに大きな公園あるし散歩してもいいよ」
近くの大きな公園がある。
今回は予定を変更して公園デートをする事にした。
着いた先のこの大きな公園。
子供の遊具だけではなく、湖があったり自然豊かなのでお年寄りやハイキングに来た人、バードウォッチングに来た人と、幅広い年齢層の人が各々自由に楽しんでる。
「ここいいね」
「でしょ?マンションからもここ見えて、木に色んな鳥がいるのを双眼鏡とかで眺めてたりしてるんだよね」
鳥好きの叶芽はこの公園に集う鳥をマンションからバードウォッチングしていた。
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