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格差⑧
指輪交換した2人。
するとここで渚はふと思う。
「これさ、チェーン付けてネックレスにした方が良くないかな?」
「ネックレス?」
「そ、だってずっと嵌めてるわけにはいかないじゃん?
ネックレスなら身につけやすいし、無くしにくそうだなって」
指輪は高校生が嵌めるのは人の目もあるので難しいだろう。
ネックレスなら服の下に隠せるので身につけやすいと渚は思う。
「俺もネックレスにしたい」
渚の話を聞いて叶芽もそれがいいと同意する。
先程の店にまた戻ってチェーンを買うことにした。
だが渚はここで気付いた。
「やべっ財布の中空っぽ………」
指輪を買ってお金を使い果たしてしまった。
「じゃあ俺が2つ買う」
「ごめんね。
必ず返すから」
なんでもかんでも買ってもらうのは癪だ。
バイト代が入ったらお金を返すと約束した。
叶芽としては別にお金を返して貰わなくていいのにと思うが、渚は絶対返すと譲らないので仕方無い。
その後はお腹空いたと言うことで近くのファストフード店に入った。
しかし渚の財布が空っぽなのでここも叶芽の支払いだ。
「ごめんね。
奢らせた挙げ句こんなファストフードで……」
本当ならそれなりのレストランで食事させてあげたいと渚は申し訳なく思う。
「別に気にしなくていいのに。
俺はナギと居るだけで幸せなの」
そう言われるだけ救いではあるが、やはり貧富の格差は埋められないしプライドは傷つく。
それでも彼を好きな事には変わり無いので、将来彼に見合うような男になれるよう頑張るしかない。
そして時間はあっという間に過ぎて帰る時間になる。
いつものように渚が叶芽を家の近くまで送ろうとするが、今日は大丈夫と叶芽が断った。
「今日は近くに車で迎えに来てくれるからここで大丈夫」
「そっか」
今日は藤堂が車で迎えに来てくれると言うのでここでお別れだ。
いつも家の近くまで送っていた渚は少々寂しいと思った。
「じゃあまた今度ね」
「うん、今日はありがとう。
指輪嬉しかった」
「俺も……」
2人は名残惜しそうに別れた。
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