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相応しい人①
この日叶芽は佑真の家にいた。
たまにはうちにおいでと佑真の両親にお呼ばれされた。
柊家よりも少し小さい家ではあるが、世間一般から見れば超豪邸である。
そんな沢田家の夕食に叶芽は招かれた。
「何だか久しぶりね。
前はもっと一緒にお食事してたのに、ここ数年忙しくなっちゃって……
千歳さんもお仕事なんでしょう?」
佑真の母、奈緒美が叶芽に問いかける。
「はい、母ちゃんも今日は仕事の打ち合わせ?とかなんとかで家にいないです」
「そう、大変ね……」
今日は父親も母親も仕事で家にいないので佑真と奈緒美がじゃあうちで食べようと招待してくれた。
しかもフレンチの一流シェフを家に招いてコース料理を振る舞ってくれるそうだ。
「君のお父様も忙しそうだね」
今度は佑真の父、光太郎が話しかけてくる。
口髭がダンディーで風格ある男性だ。
沢田家とは物心ついた時から家族ぐるみで仲良くしていてよく一緒に食事をしていたが、今は父、麻人も叶芽の祖父の跡を継いで社長になり、忙しくなってしまったので中々時間が取れなくなった。
「まぁ、最近はちょっと帰りが遅くなることが結構ありますね。
詳しくは分かんないですけど……」
残念ながら会社の事は全く分からない。
「今は新しい事業が始まったようだからね」
「へぇ~」
そう言われても叶芽はあまり関心はない。
だって自分には関係ないと思ってるから。
「君はあまり興味ないかもしれないが、君のお父様は本当に凄い人だよ。
特に先見の明がね。
先を見通すあの洞察力や勘は中々マネは出来ない」
「はぁ………」
父が凄いと言われるが、叶芽はイマイチピンと来ていない。
「はっはっはっ、今はまだ彼の凄さが分からないかもしれないが、きっといつか分かるさ。
君ももっとお父様に学ぶといい。
視野が広がる」
「う~んじゃあ気が向いたら」
そこまで言われるのなら今度父親と少し話してみようかと思った。
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