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相応しい人②

沢田家と共にフレンチの夕食を頂く叶芽。 フレンチの食事のマナーも名家のお坊っちゃまらしくスマートにこなす。 すると奈緒美が叶芽に話を振る。 「それにしても叶芽君少し見ない内にお母様に益々そっくりになったわね」 「よく言われます」 昔から母そっくりと言われていた叶芽。 最近特に言われる。 「千歳さんも麻人さんも昔からあまり変わらないわよね~。 羨ましいわ」 全然老けないと奈緒美は自分の頬を手で挟んでそう羨む。 「??おば様も全然変わらないと思いますけど。 年齢不詳と言うか流石イケメン佑真のお母様って感じで美人ですよね~」 「やだもう~!! 叶芽君ったら煽て上手ね~」 叶芽の褒め言葉に奈緒美は上機嫌になる。 そんな様子を佑真は隣で冷めた目で見る。 「いくらお世辞にしても母さんが全然変わらないは無いわな。 普通に年相応なのに」 「ちょっとそれどう言う意味?」 母親を貶す佑真に奈緒美はムッとする。 「はぁ、昔は素直でいい子だったのにどうしてこう、ひねくれちゃったのかしら。 いつまでも素直でいい子な叶芽君を息子にしたいわぁ」 生意気な息子よりも叶芽を息子にしたいと言う奈緒美。 逆に千歳は叶芽に佑真を見習って欲しいと言っていた。 隣の芝生は青いと言う奴か? 「いっそうちにお嫁に来てくれないかしらね」 「えっ!?」 奈緒美の言葉にビクッと驚いた叶芽は思わず横に置かれたフォークを床に落とし、ガシャンと音を立てた。 「うわっごめんなさい!!」 「あらあら大丈夫?」 「あ、はい。すみません……」 落としたフォークは使用人の人が拾ってくれて、新しいフォークと交換してもらった。 佑真に告白されて日が浅いので、つい動揺してしまった。 「全く、お前が変なこと言うからだぞ。 すまないね叶芽君」 「いえ……」 光太郎が叶芽に謝罪すると奈緒美もごめんねと言うので、すかさず大丈夫だと伝える。 「ごめんなさいね。 叶芽君も佑真のお嫁さんなんて嫌よねぇ。 意地悪ばっかり言うんだもの」 「いやぁ………」 そんなこと無いですと言いたかったが、意地悪なのはどうしても否定出来なかった。 いつも正論で言い負かされるから……

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