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相応しい人⑦ お知らせ

※佑真のイラストを公開しております。 こんな感じとイメージして頂けたらと思います! 悶々と悩む叶芽を他所に佑真はさっさと着替える。 「ほらお前も早くしろ」 「………もうっほんっと、佑真って意地悪だ!!」 「はいはい」 軽くあしらい、顔を洗ってリビングに行く。 そこには既に母、奈緒美の姿がある。 「あれ、おじ様は?」 叶芽が佑真の父、光太郎の姿が見えない事に気が付く。 「もう書斎へ行ったわ。 ほら、貴方達も早く食べなさい」 投資家でもある光太郎は、既に仕事を始めていた。 そしてテーブルには野菜とフルーツ、そしてスコーンとオシャレな朝食が並んでいた。 「サラダ………」 「残さず食えよ」 「ぅ………」 生野菜が少し苦手な叶芽。 佑真は好き嫌いするなと釘を刺す。 人の家で好き嫌い出来る訳もなく、まず先に苦手なサラダから食べる。 「あ、これドレッシング? 意外と美味しい」 「良かった。 叶芽君の為に激辛ドレッシングを用意してみたの。 これなら食べられるでしょ?」 生野菜が苦手と知っての奈緒美の気遣い。 お陰で少し憂鬱だった心も救われた。 因みに佑真と奈緒美はまた別のドレッシングだ。 そんな優雅な朝を過ごすセレブがいる一方、騒がしい朝を迎える一家もいる。 「ちょっと早くしてよ!!待ってるんだから!!」 「あとちょっと」 洗面台を独占する唯人と早くしてと急かす菜々。 「あれ、靴下は?」 「靴下はここ。 って瑠樹、休みだからっていい加減起きなさいって!!」 慌ただしく過ぎる朝の宮市家は最早戦争だ。 洗面所やトイレの争奪戦から失くし物の捜索、眠気との戦い。 狭いこの家の中はもうてんやわんやだ。 漸く収まったのは朝食の後だ。 今日は休日なのでそれぞれやりたいようにやっている。 やっと一段落ついた渚は母も仕事が休みで家にいるので少し出掛ける事にした。 騒がしい家から解放された渚は叶芽に電話出来るかとメッセージを送った。 しかし中々返事が来ないし、既読もつかない。 なので少しコンビニに寄ることにした。 そこでふと目に止まった雑誌があった。 「カリスマイケメン社長の柊麻人って……」 雑誌に載っていたのは叶芽の父、麻人だった。

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