カリスマイケメン社長の柊麻人。 渚の目に止まった雑誌の表紙に書かれた文字。 思わず手に取る。 「…………」 物凄く気になるが、わざわざ雑誌を買うのにはお金が勿体無いと躊躇する。 かと言って立ち読みは店員もいるので気が引ける。 結局渚は何も買わずコンビニを出た。 そして近くの小さな公園に立ち寄りスマホを取り出して検索した。 柊麻人と入力するといくつかのページが出てくる。 適当なサイトを覗いてみると写真付きでインタビュー記事が載っている。 「うわぁ～………」 写真で初めて知った叶芽の父はさっきの雑誌で見たカリスマイケメン社長と言う見出しに違わない容姿にびっくりした。 そして彼のインタビュー記事にはこう書かれている。 『若くして先代の父から受け継ぎ社長となった彼が先ず着手したのは事業の拡大だった。 しかし四方八方に新たに事業を始めた事で手当たり次第に漁っているやら、無責任な無駄遣い、金持ちの道楽、七光りなどと揶揄する批判が上がった。 だが現在柊グループは今まで以上に成長を遂げ、批判していた人も手のひら返しで褒めた称えた。 更に彼は言う。「成長するには何事にもチャレンジが必要。 とは言え大切な従業員を多く抱える立場として大きな失敗は出来ない。 僕はね、勝てない勝負はしない主義なんだよ」そう語った。』 この記事を読んだ渚はこのページを閉じて、他のサイトも開き柊麻人について調べてみた。 出てくるのは彼の武勇伝ばかり。 経営者としてとんでもなく優秀であると伺い知れ、別世界の人間に思えた。 調べれば調べる程、自分は叶芽には相応しくないと言うネガティブな感情が沸き上がる。 自分はこのまま本当に彼と付き合っていていいのだろうかと言う疑問。 それとは別に調べていて思ったのは、彼の妻子については全然出てこない。 左手薬指に指輪があるので結婚している事は分かるが、妻の素性や子供の人数や性別と言ったプライベートな部分は明らかにされていない。 一部表に出ていない事実から妻はΩでは無いかと言う記事もあったが、ソースなど無く何の信憑性も無い。 なので柊麻人は徹底して家族を守っているのだと感心する。