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相応しい人⑪

一方沢田邸では……… 「あーまた負けた!!」 佑真にゲームで負け床に仰向けになる叶芽はもう嫌とコントローラーを投げ出す。 「俺そもそも対戦ゲーム向いてない」 「今更かよ。 狩りゲーも下手だしな」 そう言われ叶芽はムッとする。 「俺はほのぼのと動物と日常を謳歌するようなのが向いてると思う」 「そう言や最近買ってたよな、そう言うゲーム。 まだやってんの?」 「…………」 最近買ったゲームも飽きて部屋の隅に追いやられていた。 「ねぇ、漫画読んでいい?」 「どうぞお好きに」 叶芽はこの部屋に置かれた壁一面の本棚に詰められた漫画に目を向けた。 「やっぱ俺は漫画がいいや」 そう言って漫画を手に取るが、スマホにメッセージが来ていた事に今更気付いた。 見ると20分程前に渚から電話したいと来ていた。 マナーモードにしていたので気付かなかった。 叶芽は慌てて部屋を出て電話を掛けるが何回か掛けても渚が電話に出ることはなかった。 「どうしたんだろ……… 気付かなかったの怒った?」 しかし20分気付かなかっただけで怒るような人ではない。 何かあったのだろうかと心配し、取り敢えずメッセージで何かあった?と送った。 メッセージが来るまで部屋に戻り佑真と漫画を読んでいたが、返事が返ってこないどころか既読もつかない。 「………どうかしたか?」 スマホ凝視して悩む様子の叶芽に佑真が声を掛ける。 「別に………」 「そう言う割に何かありそうだけどな」 「…………」 佑真に隠し事は出来ない。 「……ナギから連絡こない」 仕方無いので事情を話すとあっそっと素っ気ない返事をされた。 自分から聞いたくせにその態度は酷くないか? 「もうめんどくせぇから俺にしろよ。 あいつのどこがいいわけ?」 「いや、ナギはカッコいいし佑真より優しいし!!」 そう言うと佑真にニヤッと笑った。 「へぇ、じゃあ優しくしたら俺にしてくれんの?」 「いや、そう言う問題じゃなくて……」

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