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第一章・4

 よほどお腹がすいていたのだろう。  子猫は、冷たい牛乳を文句も言わずに夢中で舐めた。  その姿をにこにこと眺めながら、慎はそっと亮太にささやいた。 「な、この子猫、俺たち二人で、ここで飼おうぜ」 「ここで?」  亮太は考えた。  どちらかの家に、連れて帰るわけには……、いかないな。 「僕の家アパートだし、慎の家は……」 「お父さんが動物嫌いだから、絶対許してくんない」  タンスの引き出しの中なら、誰にも気づかれないさ、と慎は身を乗り出した。 「名前、付けようぜ。何がいいかな」  そんな慎の楽観的な様子に、亮太はくすりと笑った。  慎は、いつでもこうなんだから。  でも、そんなところも大好き。 「きな粉餅みたいだから、きなこ、でどう?」 「いいな、それ!」  食べちゃいたいくらい可愛いな~、と子猫の頭を撫でながら、慎はご機嫌だった。 「亮太、これは俺たちだけの秘密だぜ。いいな?」 「うん、解った」 「じゃあ、指切り」  指切りげんまん 嘘ついたら 針千本飲ます  共通の隠しごとを一つ作り、二人は原っぱを後にした。

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