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第一章・6
「刑務所跡地へは行くなと、言ってあるだろう! 誰と一緒に行ったんだ!」
「お、同じクラスの」
慎は、そこで唇を噛んだ。
市営団地につつましく住んでいる、しかもΩである亮太を、父は良く思っていなかった。
しかし、再び黙ってしまった慎の様子から、父親はすぐに勘付いた。
「あの小さなΩの子か? そうだな!?」
あの子とは遊ぶなと言っただろう!
父親の怒声が、頭ごなしに響いてくる。
慎は、震え上がった。
「あなた、慎も反省しているみたいですし。今夜はもう、この辺りで」
宿題があるのよね、と助け船を出してくれた母に、慎は心から感謝した。
(ありがとう、お母さん)
「もう二度と言わせるなよ。跡地へは行くな。それから、あのΩとは遊ぶな!」
友人は、選んで付き合わなきゃならん、と父はまだ言い足りなさそうだったが、母が手をひらひらさせて慎を二階へうながしてくれた。
部屋へ戻り、慎は胸を抑えてうずくまった。
「お父さん、怖いよ。お父さんの……、バカ」
もう落ち着いて宿題もできやしない。
慎はそのままベッドに潜り込んで、涙を流しながら眠ってしまった。
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