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第一章・7
翌日、午後から天気は崩れ始め、学校を出る頃には雨になった。
「きなこ、大丈夫かなぁ?」
「行ってみようぜ、原っぱ」
昨日あれだけ父親に叱られたこともケロリと忘れ、慎は亮太と二人で子猫の様子を見に原っぱへ向かった。
「あれっ!?」
「タンスが、無い!」
昨日は確かに転がっていた古いタンスが、きれいに消えて無くなっている。
誰かが、通報したのだろう。
業者が持って行ってしまったのだ。
「そんな……!?」
「きなこは? きなこ、引き出しの中に入ってたのに!」
混乱状態の少年二人を鎮めたのは、透き通った男の声だった。
「きなこ、って。このネコのことかな?」
は、と声のする方を見てみると、そこには若い青年が立っていた。
髪は茶色で肌の色は白く、痩せ型の細い青年。
夏だというのに、淡い空色のタートルネックセーターを着ていた。
そして、その手には昨日『きなこ』と二人が名付けた子猫が、大人しく眠っていた。
「きなこ!」
「無事だったんだね!」
喜ぶ二人に、青年は優しく微笑んで見せた。
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