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第一章・9
「ありがとうございます」
「いただきま~す」
菓子を食べながら晶の話を聞くと、きなこは夜通し鳴いていたのだという。
「どこから聞こえてくるんだろう、と思って。朝に上へ上がってみるとタンスの中から声が」
カラスが数羽群がっていたので追い払い、きなこを保護したのだと語った。
「その後すぐ、タンスを持って行かれちゃったから。危ないところだったね」
「そうだったのか」
「きなこを助けてくれて、ありがとうございます」
そこで晶は、素敵な提案をしてくれた。
「もう少し大きくなるまで、僕が保護しててもいいよ? そのうち、二人のどちらかが家で飼えるようになるといいね」
会いたくなったら、いつでもここへ来るといいよ。
そんな晶の申し出は、慎と亮太にはひどくありがたかった。
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